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→ 泌尿器科センター開設のご案内

排尿のことでお困りの在宅療養中の患者さま

ご自宅で生活する上での大きな問題として排泄の問題があります。

私たちは在宅医療に関わる中で、尿道カテーテルが長い間留置されたままの患者様など、トイレの問題にお困りの方やそのご家族に多数接する機会があり、何とかカテーテルを含めた排尿の問題を少しでも改善できないかとの思いから当センターを開設いたしました。

泌尿器科センターでは在宅療養での排尿の問題に特化し、ご自宅での様々なご相談やトラブルに対応いたします。泌尿器科での検査や治療の一部はご自宅へ伺い提供することも可能です。診療をご希望の方はご相談ください。

泌尿器科センター
センター長:青木裕章
詳細・お問い合わせ
詳細に関しましてはこちらをご参照ください泌尿器科センター
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泌尿器科センター開設のご案内 [PDF-SIZE:2.4MB]

尿道ステント治療PDFイメージ
尿道ステント治療のご案内 [PDF-SIZE:12.3MB]

→ 移転のご案内

拝啓 初秋の候 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます
平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。

さてこのたび、荏原ホームケアクリニックは 平成28年10月11日より
下記へ移転し業務を行うことになりました
なお電話番号及びFAX番号に変更はございません。

何とぞご高承の上 一層のお引き立てを賜りますようお願い申し上げます
まずは略儀ながら書中にてご通知かたがたご挨拶申し上げます。

敬具

平成28年 9月 吉日

医療法人社団 鳳優会
荏原ホームケアクリニック

新住所 〒142-0041 品川区戸越5-14-24 ITOビル5階
TEL:03-5788-6088(変更ありません)
FAX:03-5788-6087(変更ありません)

→ 年末年始休診のお知らせ

2015年12月30日(水)~2016年1月3日(日)まで休診とさせていただきます。
尚、緊急連絡は受付けております。
2016年1月4日(月)から通常診療いたします。
何卒ご了承のほどお願い申し上げます。

→ 第9夜 サクランボは健康にいいの?

川口です。
桜の時期も終わり、これから世の中に出回ってくる美味しい果物「サクランボ」をテーマとして取り上げます。

Q サクランボにはどのような栄養素が含まれているの?

  • ビタミンCをはじめビタミンB群、カロチン、カリウム、カルシウム、鉄分、食物繊維
    が多く含まれています。

☆一般的には風邪の予防、シミ・ソバカスに対しての美容効果、貧血予防、骨粗鬆症の予防などに効果があります。

今回は特にサクランボに含まれるビタミンCを中心に解説します。

~豆知識~
サクランボの酸味はクエン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸などによるもので、疲労回復、食欲増進、血行促進に効果があります。
実の赤色や紫色はポリフェノールの一種アントシアニンという色素によります。
このアントシアニンには大きく3つの働きがあります。
疲れ目の回復、老化の原因と言われている活性酸素の生成を抑える働き、毛細血管に働かきかけ血液循環の流れを良くしたり細胞への栄養補給を手助けしたりするということです。

Q ビタミンCが不足するとどうなるの?

  • みなさんも聞いたことがあると思いますが壊血病、免疫力の低下、骨粗鬆症などがあげられます。

・壊血病は毛細血管がもろくなってしまい、傷も無いのに体のあらゆる場所から出血する病気です。
最初は歯茎からの出血、皮膚の内出血がおこります。進行してしまうと、全身からの出血をきたし重篤になることがあります。
ビタミンCは細胞同士をしっかり結合させるコラーゲン(タンパク質の一種です)を作る時に必要な栄養素です。
人間の体は何十兆個もの細胞が集まって出来ており、この細胞同士がバラバラになってしまうと、人間の体で一番でもろいと言われている毛細血管から影響が出始めます。そして歯茎からの出血や内出血が多くなるのです。

・次に免疫力の低下です。
ビタミンCは、体内で出来てしまう活性酸素を分解します。
そして老化を遅らせたり白血球の働きを高めます。白血球には皆さんも御存知の通り、体内に侵入してきた病原菌や最近と戦う免疫機能がありますね。
つまりビタミンCが不足すると体内に活性酸素が多くなり、白血球の働きが鈍くなってしまい免疫力が低下してしまうのです。

・次に骨粗鬆症です。
ビタミンCは体の細胞を結合させる働きをしていると説明しましたね。
これは筋肉、皮膚、内臓だけでなく骨についても同じように言えます。
骨は、ほとんどがカルシウムとコラーゲンでできています。しっかりとした骨を作るにはビタミンC、D、Kなどが欠かせないのです。
簡単にこの3つのビタミンがどんな働きをしているかを説明します。
ビタミンCは主にコラーゲンを作り出します。ビタミンKはコラーゲンとカルシウムを結合させます。ビタミンDは骨へのカルシウムの沈着を調整する働きをしています。
このような機序で骨がスカスカになる骨粗鬆症を防いでいるのです。

さてビタミンC不足で成人、乳幼児での症状を下記にあげます。

【成人】
・倦怠感、脱力感、体重減少
・皮膚や粘膜、歯茎からの出血、歯が抜ける
・傷の治りが悪い
・感染への抵抗力が低下
・昔の古傷が開く
・貧血

【乳幼児】
・歯の発生障害(生えてこないなど)
・骨折、骨の変形
・軟骨や骨境界部での出血、血腫
などあげられます。
成人では実際には3~12か月にわたる長期のビタミンC不足が続いた場合に症状が起きます。

治療法は・・・ビタミンCの摂取です!!

~豆知識~
話はさかのぼって大航海時代になります。
長期にわたる航海では多くの乗組員が壊血病で倒れたそうです。当時は原因がわからず、防ぎようのない船乗りの宿命とあきらめられていました。
あの有名なキャプテン・クックが2回目の世界一周航海の際にライムや塩漬け野菜をたくさん積み込み航海に出ました。すると壊血病で倒れたのは1名だったのです。

Q ビタミンCを過剰に摂取するとどうなる?

  • 腹痛や下痢を起こす可能性がある、胃が痛くなる、尿管結石ができてしまうなどの情報を皆さんも耳にした事があると思います。
    1日あたりのビタミンCの摂取上限は特に定められていません。
    過剰に摂取しても消化管からの吸収率が低下し、尿中排泄量が増加するのです。
    尿中に排泄されるビタミンCの大半はシュウ酸という形で出てきます。
    腎臓に障害のある人がビタミンCを大量に摂取し続けると尿中へのシュウ酸排出が多くなり、尿中のシュウ酸がカルシウムと結合して腎臓結石や尿路結石のリスクを高めるという説があります。

☆何事も多く摂ったから健康にいいというのは間違いですね。適度な量をバランスよく摂取する事が大切という事ですね!

ビタミンCの役割を下記のようにまとめます。

☆ビタミンCはコラーゲン合成に大きな役割を持っている。骨や歯、筋肉、血管などの成長や修復にはコラーゲンが必要不可欠であり、その合成の為にビタミンCの働きは大きい。

☆ビタミンCは白血球の働きを助け免疫力を高め、風邪などの感染症に対抗する。

☆ビタミンC(A、Eもですが)は抗酸化ビタミンであり、心筋梗塞、脳卒中、癌などの病気を誘発すると言われている活性酸素を除去する役割がある。

☆ビタミンCは悪玉コレステロール(LDL)を減少させコレステロールを下げる役割がある。

☆ビタミンCは、しみ・そばかすの原因であるメラニン色素が肌に沈着するのを防ぐ役割も担っている。

このようにビタミンCが豊富に含まれている、さくらんぼを食べる事で色々な病気を防ぐことができるのです。
もちろん、さくらんぼ以外の果物にも同じことが言えるのですが、ちょうど5~7月にかけて、さくらんぼが美味しい時期ですので今回はテーマとして取り上げてみました。

次回は、さくらんぼに含まれている他のビタミンについて取り上げようと思います。

→ 第8夜 高齢者の足のむくみ

荏原ホームケアクリニック 川口です。

常勤医の川口です。
もうすっかり暖かい季節になってきました。
さて今回のテーマは足のむくみについてです。原因となる病態、病気は多種に渡りますのでなるべく簡略にかつ簡単に読みやすいように説明していきます。

Q むくみって何?

  • むくみ(浮腫)は体の水分が異常に増えてしまった状態です。

    血管の外に、余分な水分(血しょう成分)が溜まった状態のことを言います。
    この「血しょう成分」とは、血液の液体部分のことで、血液が運んできた栄養分や酸素を、腎臓や肺などの組織に運んでいるのですが、この本来の役割を果たした血しょう成分は、通常は血液に戻ります。
    では何故、余計な水分が溜まるのでしょうか。
    簡単にメカニズムを説明します。

    人間の身体には、全身を巡るように動脈、静脈の二つの血管とリンパ管が張り巡らされています。
    そして、心臓がポンプとなって送り出された血液は、動脈を通り身体の隅々まで行き渡り、血液の血しょう成分が、細胞間の細胞間液になって細胞に酸素や栄養を届けます。
    酸素や栄養を届けた細胞間液は、次に細胞で使われた後の二酸化炭素や老廃物を回収し、再び血液の血しょう成分となり、静脈やリンパ管を通って心臓に戻ります。
    このとき静脈の働きが悪いと、リンパに送られる細胞間液(血しょう成分)の量が増えてしまいます。
    むくみの仕組みは、静脈の流れが悪かったり、リンパ液がスムーズに流れないことで、細胞間液が血管に戻らず、細胞と細胞の間に細胞間液、いわゆる余分な水分(血しょう成分)が溜まってしまうことにより、むくみが出現します。

Q 肥満とどうやって見分けるのでしょうか?

  • 太っている=肥満ですね

    人の体はさまざまな物質でできています。おおまかには水分と、筋肉に多く含まれている糖質とたんぱく質、骨に多く含まれているミネラル、脂肪です。肥満というのは、このなかの脂肪の割合が増えている事を言います。
    自分でむくんでいると思うところを指で押してみましょう。

    むくみの場合、指で押した跡ができます。肥満ではおきませんよね?肥満の方の体を強く押したら凹んだなんて聞いたことがないでしょう。
    むくみがひどいと体重が10㎏~20㎏近く増える人もいます。

人間の体は約60%が水分です。ただし年齢によってパーセンテージは異なります。過去の勉強部屋で説明した通り高齢者はさらに少ないのです。
この水分のうち2/3は細胞内液といって細胞内にあります。残りの1/3は細胞の外にあります。細胞外液と言います。
この細胞外液のうち1/4は血漿水といって血管の中に存在します。残りの3/4は細胞と細胞の間に存在する組織間液と呼ばれます。

Q 高齢者(主な病気が無い人)の足がむくみやすいのは何故?

  • 上で述べたように様々な病気が原因として考えられるのですが、簡単に説明します。

    まず高齢になると運動不足になります。すると何が起きるでしょうか?
    筋肉量が減り、筋力が低下し新陳代謝が低下します。足の筋肉というのは実は血液を循環させるポンプの役割を持っています。つまりポンプがうまく機能しない訳ですから老廃物やリンパ液、血液が溜まってしまうのです。

次に心臓が悪い人はなぜむくむのでしょうか。

Q 心臓の悪い人はむくむの?

  • 最初に心臓とはどのような働きをするかを説明しましょう。
    心臓は簡単に説明するとポンプと思ってください。ポンプの機能が悪くなると全身に十分な血液を送り込めなくなります。すると血液の流れが滞ってしまい全身にむくみが生じるのです。心臓の機能が悪くなる=心不全といいます。

    心不全は色々な心臓病や心臓以外の病気が原因で起こります。血液の流れが滞ってむくみが生じることから「うっ血性心不全」とも呼びます。
    以前は、心臓から腎臓へ血液を運ぶポンプの機能が低下してしまう事を改善する為に、利尿剤(尿を出しやすくする薬)、強心薬(ポンプ機能を強くする薬)、血管拡張薬(血管を広げて血液の流れを良くする薬)を使う事が治療の中心でした。

    現在は心不全の原因として、上記に述べたポンプ機能の低下以外に、レニン・アンギオテンシン・アルドステロン系というホルモン系(専門的になるので名称だけにしておきます。)が着目され、治療の中心となっています。

Q 心不全でむくんでいる方の食生活で気をつける点としては?

  • やはり塩分でしょうね。でもあまりに塩分制限をしてしまうと逆に食欲低下をきたしてしまいます。1日あたり塩分を6gくらいに抑えてくださいと言われている方は多いのではないでしょうか。

    6gは大体ですが小さじ1と1/5杯分くらいです。パンや麺類などの加工品にも実は塩分は含まれているので注意してください。

    私の好きなうどん100gに約130mg(メーカーにより異なります)、ロールパン100gには約500mgのナトリウムが含まれています。
    このように加工品に調味料を使ってしまうと簡単に塩分摂取量が増えてしまうのです。
    我々の一般的な食生活で塩分を6gに制限するという事はなかなか難しいのが現状です。厳しい塩分制限で食欲が落ちてしまい体重が減ってしまったり、精神的ストレスが強くなる場合もあります。
    そのような場合は医師と相談してみてください。

☆味見もしないで習慣的に醤油、ソース、塩をかけて常に味を濃くして食べている方は多くいるでしょう。
病気になる前に塩分の少ない食生活を心がけましょう。

次回は、これからの時期、おいしく食べられるサクランボが、健康面でどのような効果があるのかを説明したいと思います。

→ 第7夜 要注意!夏の肺炎

荏原ホームケアクリニック 川口です。

例年より早い梅雨明けで、暑い夏がやってきました。
台風が接近している影響からはっきりしないお天気も続き、
毎日ジメジメ・・ 毎晩寝苦しい夜がやってきます。
こういった時期に、体調を崩される患者さんも多く
我々にとっては大忙しな季節となります。

節電を謳われる日本列島、東北のみなさんのためにも
日々クリニックや自宅の節電を意識している毎日ですが
訪問診療という性質上、ご高齢の患者さんが多く
過度な節電が命を奪う危険性が伴うことも否定は出来ません。
そのため、気温の上昇に伴う患者さんの脱水状態を未然に防ぐため、
冷房、除湿器などを使って部屋を涼しくするようにうるさく指導していますが
実はその冷房、除湿器が原因の元となる
見落としてはならない病気があることをご存知でしょうか?

夏になると息苦しさや、咳が出て、風邪のようだけれど、なかなか治らない
といった症状をきたす
今回は、“夏型過敏性肺炎” という病気のお話です。

Q 過敏性肺炎て何?

  • カビや細菌などを含んだ粉塵やほこり、化学物質を多く含んだ
    防虫剤、防虫スプレーなどを吸い込んでいるうちに、
    アレルギー反応を起こして発病する肺炎の事です。

“アレルギー反応によるもの”という事がポイントです。
本来、肺炎というものは細菌、ウイルス、真菌などといった
外敵の感染によって引き起こされるのですがこの病気は発症の原因が異なるのです。

Q どんな症状が出るの?

  • 上のポイントで述べたような原因となる物質を吸い込んでから
    4~6時間後に咳や痰、発熱などの軽い風邪のような症状で始まります。
    “単なる風邪”と思って放置していると症状は進行し、
    重症になると息切れ、呼吸困難が出現します。

Q 夏風邪と見分けはつくの?

  • 確かに見分けをつけるのは難しいです。
    中には気管支喘息と診断される事もあります。

    では夏風邪と見分けるには一体どうしたらよいのでしょうか?
    見分け方のポイントは以下の3点です。

  1. 夏だけ咳がよく出る。夏になると同じ症状を繰り返す。
  2. 夏風邪の症状がなかなか良くならない。
    でも旅行で自宅を離れると何故か体調が良くなる。
  3. 長時間、家にいると咳が酷くなる。

思い当たる状況がある方は、早めに医師に相談をして下さい。

Q 何故「夏型」と呼ばれているの?

  • 日本では梅雨以降の高温多湿の季節に発生することが多いという理由から
    「夏型」と呼ばれています。

皆さん、自分の家のエアコンや浴室、台所などの水気の多い場所を
注意深く見てみましょう。

真黒くなっていたりしませんか?

カビはエアコン、浴室や脱衣所、台所の流し台、カーペットや
寝具などで繁殖します。
また、日当たりや風通しの良くない古い木造住宅の畳などでも繁殖します。

このような状況から考えると、ジメジメした梅雨から夏にかけて
カビが多く繁殖するという事が想像出来るのではないでしょうか?

Q どうやって対処すればいいの?

  • まず何より、この病気の可能性に気付かなければなりません。
    軽度の症状であれば原因となる環境から離れることが大切です。
    症状が重い時はステロイド薬で治療を行わなければならないことがあります。

Q 予防する方法はありますか?

  • 簡単にカビが繁殖しないようにすることが大切なので
    こまめな掃除が必要です。
    とにかく黒くなっている場所を見つけたら掃除をしましょう。
    掃除をする方は、吸いこまないようにマスクを厳重に装着して下さい。

    エアコン、除湿器などを使用する事は大切なことです。
    ですが、脱水防止の為にエアコンを使用しても
    逆に具合が悪くなったのでは困ってしまいますね。

    スイッチを入れる前、エアコンのフィルターなどに、
    カビが生えていないか確認をして見て下さい。
    外からは見えない部分にカビが繁殖していたり
    ほこりが溜まっている事もありますので1ヶ月に1回、
    梅雨が来る前に、など自分なりのルールを決めて
    徹底的に掃除をする日を作るのも予防という観点から良いかもしれません。

「カビを吸い込んだら体に悪いよ!」
「ほこりを吸いこんだら体に悪いよ!」
という言葉は子供の頃から、よく耳にしますが
何故体に悪いのかは意外と知らなかったのではないでしょうか?

しっかり対策をして、猛暑を元気に乗り切りましょう!
水分、塩分補給も忘れずに!

さて、次回は「足のむくみ」を予定しています。
是非、楽しみにしていて下さいネ!

→ 第6夜 高齢者の栄養 ➂ ~栄養不足と皮膚トラブル ( 床ずれ ) ~

荏原ホームケアクリニック 川口です。

今回は、“栄養状態が皮膚トラブルの治療にとって、非常に重要である”
という事についてお話したいと思います。
“床ずれ“ といっても実際に御覧になった事がない方も多いかと思いますので、
今回は、症例と写真を用いてご説明しようかと思います。

在宅医療の現場で取り上げる皮膚トラブルで、一番の問題といって
過言ではないもの、それが“床ずれ”です。

Q 床ずれって何?

  • 医療用語では床ずれのことを、“褥瘡(じょくそう)”と言います。
    皮膚への血流が乏しくなり、
    その部分の皮膚が死んでしまう状態のことを“虚血性壊死”と言いますが、
    体のある部分に一定以上の圧力が加わって
    皮膚が虚血性壊死に陥ってしまったものを、床ずれ(褥瘡)と言うのです。

ひどくなると皮膚や、さらにその下の皮下組織まで壊死する事もあります。
長期間ベッドに寝ている方や、車いすを利用している方は床ずれが出来やすく比較的栄養状態が低下した場合に多く見られることがあります。
原因としては、栄養が低いと皮膚そのものが“弱く”なってしまうからです。

発生しやすい部位は、骨などが出っ張って、圧迫され易い、

仙骨部(お尻の中心)

坐骨部(お尻の両脇)

大転子部(横になった時にあたる腰の部分)などです。

肩口や後頭部に出来ることもあります。

皮膚が赤くなるだけのものや
“びらん状態”(1)になったり
酷い場合は、傷口が皮下脂肪や骨にまで達し
クレーターのようにえぐれてしまう場合もあります。

では、実際に起こった症例を簡単に説明します。

80歳代/自分で寝返りが出来なくなった寝たきりの患者さんです。
食事にむらがあり、栄養が不足している状態で、
仙骨部(お尻の中心)と足に床ずれが発生していました。(写真➀、➁)
仙骨部に関しては、すでに血行が途絶え
皮膚は黒く壊死(2)していました。
さらに菌が繁殖し、感染をおこし、傷口からは膿が出ており、
この状態を放置しておくと最悪な場合、菌が全身に広がって
命を落としかねない危険な状態になってしまうことも想定されました。
そこで、すぐにメスなどを使って黒く壊死している箇所を取り除きました。

悪い部分は取り除けましたが、前回説明した通り
栄養が不足しているとこの後の治癒に時間がかかるどころか、
逆に広がってしまうことがあります。

ですから、改善の第一条件として
まず、1日3食をしっかり摂取して頂くように
患者さんとご家族にお話しをしました。
すると、規則的な食事の結果、足に多発していた床ずれは劇的に治癒しました。
一方、仙骨部に関しては少しずつ改善するものの、
傷口のサイズが大きく、なかなか縮小傾向には至りませんでした。(写真 ➂、➃、➄)

そこで、前回説明したハリスベネディクトの式(Harris-Benedict)を用いて床ずれの治療に必要なカロリー数を計算し、
不足している分については、間食に栄養補助食品を用い、
カロリーを補ってみました。
すると、治癒が遷延していた仙骨部に関しても
傷口のサイズが縮小していったのです。

このように栄養状態を良くすることで、床ずれはかなり改善することが分かります。(写真 ➅)

もちろん栄養状態をよくするだけでなく、
除圧(体位交換)や、毎日の処置を忘れずに続けることも非常に重要です。

床ずれの程度によっては、治癒が数ヵ月かかるといったものもあります。
一度出来てしまうとなかなか治り辛い床ずれは、
患者さんにとっても、介護をするご家族にとっても
大きな負担になってしまいます。
だからこそ、床ずれが発生しないように予防する事が、
本当は一番大切なのです。

皆さんのそばに、御高齢で寝ている時間が多いご家族の方がおられましたら
背中や、足の踵など、一見すると見え難い所を観察してみましょう。
「少し、赤くなっているなぁ」と感じたら、黄色信号です。

長時間、同じ箇所に圧がかからないように
こまめに除圧(体位交換)をしてみること、
そして、十分な栄養が取れているか、しっかり見直してみることが肝要です。

これにより、きっと悪化が防げると思います。

さて、次回は「要注意!夏の肺炎」を予定しています。
是非、楽しみにしていて下さいネ!

【医療用語辞典】

1 びらん :浅く皮膚がむけた状態を指す
2 壊死  :皮膚が腐っている状態を指す

→ 第5夜 高齢者の栄養 ➁  ~必要カロリー量とは?~

荏原ホームケアクリニック 川口です。今回は高齢者の栄養についての第2段です。

”高齢者”と言っても置かれている状態は人それぞれ。

歩行可能な方もいれば、そうでない方もいるように、食欲旺盛な方や、食が細い方等々・・。
ご本人様にとっても、介護者にとっても、また医療関係者のみなさんにとって

目の前にいる患者さんのカロリー量が気になる時があるのではないかと思います。

今回は一日に必要なカロリー量、そして代表的な病気によってどのくらいのカロリー量が必要なのかについて説明して行きたいと思います。

Q 1日に必要なカロリーはどのくらいですか?

こういった質問を実際に多く受けますが、カロリー量は病気によって異なって来るので
まず第一に病気のことは考えずにお答えするようにしています。

  • 非常に簡易的な計算式があります。
    適性カロリー:25~30kcal×理想体重(IBW)
    IBW:ideal body weight(理想体重)=身長(m)×身長(m)×22kg

上記の計算式があてはまるのは、あくまで健康高齢者です。
現在かかっている病気や、身体の状態、活動性を全て考慮すると数値は若干異なって来ます。
その点については次の項目で説明しますが

IBWを利用して栄養障害がどの程度あるのかというガイドラインがあります。

%IBW=実測体重/IBW×100
%IBW:80~90%=軽度栄養障害
70~79%=中等度栄養障害
69%以下=高度栄養障害

普段当たり前のように取っている我々の食事が
自分にとってどれほどの栄養状態を与えるのか。
食事を普通に食べられる人であればあまり考えないことでも

高齢者にとっては深刻な問題に発展することもあるものです。

では次に病気、身体の状態、活動性などを利用した詳しいエネルギー算出法を説明します。

必要エネルギー量(kcal)=基礎エネルギー消費量×活動係数×ストレス係数
これはHarris-Benedict(ハリス・ベネディクト)と呼ばれ
実際に必要とされるエネルギー量は個々の置かれたストレス係数や

活動係数の値を乗じて算出する必要性があると考えられ作られた計算式です。

【基礎エネルギー消費量の算出法】
※男性、女性によって算出方法が多少異なるので注意。
男性:66.5+13.75×体重(kg)+5.0×身長(cm)-6.76×年齢(歳)
女性:655.1+9.56×体重(kg)+1.85×身長(cm)-4.68×年齢(歳)

【活動係数】
寝たきり(意識低下状態):1.0
寝たきり(覚醒状態):1.1
ベッド上安静:1.2
ベッド外活動あり:1.3~1.4
一般職業従事者:1.5~1.7

【ストレス係数】
慢性低栄養状態:0.6~1.0
手術前、退院直前:1.0
手術:1.1~1.8(手術の度合によります)
外傷:1.2~1.6(傷の度合によります)
感染症:1.2~1.5(軽症、重症で異なります)
熱傷:1.0~2.0
また体温が37℃を1℃超えるごとに0.1を加えます。

複雑な計算式になっているので実際には簡易計算式の方が多く用いられていますが
まずは患者さんの基礎数値を知って栄養をコントロールして行くことも大事ですね。
なかなか食欲がわかない方や、一回に食べる量が少ない高齢の方であれば間食(10時、15時)で補うことも重要ですよ。

次回は栄養不良によって起きた皮膚トラブルについてお話ししてみようと思います。

実際に治療して傷がよくなっていく過程の写真も載せて説明しようと思っているので

是非、楽しみにしていて下さいね!

是非、楽しみにしていて下さいね。

→ 第4夜 高齢者の栄養 ➀ ~低栄養とは?~

荏原ホームケアクリニックの川口です。

今回から連続でお届けするテーマは栄養について、です。

在宅で頑張っている患者さんとご家族にとって
一番興味があるテーマかと思いますので基本的な知識から

一歩進んだ内容、患者さんからよく聞かれる質問等など
盛り込んだ内容にしていきたいと思っています。

ではまずは基本的な知識の低栄養という問題を考えます。

栄養不足(低栄養)は、時として軽視されがちなこともありますが
実は様々な問題を引き起こすこともあるので注意が必要です。

Q低栄養になるとどうなってしまうの??

  • 食事摂取量が低下すると、栄養不足、つまり低栄養になります。
    これは当たり前ですよね。

すると体は、体の中に貯めこんでいる栄養素を利用し始める事で

足りない栄養分を補い、体力を維持しようとします。

まず糖質

次に脂肪

そして、たんぱく質

という順番で体力維持に利用されます。

すると体重は減少し、体力の免疫機能低下を招きます。

体力の低下は運動機能の低下に繋がるため
現在かかっている病気の悪化をも招きかねません。
さらに免疫機能の低下は、易感染状態にも繋がって行きます。

つまり、感染症にかかりやすい状態になってしまいます。
そうなると体力はさらに低下し、感染症が重症化して

生命をおびやかす危険性が・・という悪循環に陥ってしまうのです。

たんぱく質は筋肉や内臓、骨、皮膚などをつくり維持する上で

欠かせない栄養素です。

これが不足すると筋肉量の低下をまねき、運動能力が落ちます。
寝たきりになる危険性もありますし、
むくみや床ずれ(じょく創)を
生じる事もあります。

このように色々な問題を生じるので

主治医は患者さんに、食事は食べていますか?

どのくらい食べられていますか?
と、しつこくお伺いするのです。

そういった質問をしているとよく患者さんの家族から
「食事があまり食べられなくなりました。何が原因なのでしょうか?」
という質問が出ることがあります。

Q食事摂取量の低下の原因は何??

  • これは本当に様々な原因があります。

大きく分けると加齢に伴う体の機能の低下によるものと
心理的・環境的なものの二つに分けられます。

前者は、歯の欠損や、噛む力の低下、嚥下力(飲みこむ力)の低下
唾液分泌の低下、消化液分泌の低下、消化器官の機能低下(胃腸の機能低下)、味覚の低下(感覚機能の低下)、食べようという意欲の低下、
嗜好の変化などがあげられます。

後者は、一人暮らしになり食事を用意するのが面倒

一人で食べてもおいしくないから食べたくない

買い物に行くのが面倒

高齢の夫婦で気付かないうちに食べる量が減っていくなど
各生活パターンによって、さまざまな原因があげられます。

また、飲んでいる薬の副作用による食欲の低下
経済的な要因もあるかもしれません。

このように理由は様々な事が考えられますが、心理的、環境的な要因は
一緒に住んでいる御家族、介護者の方がいち早く気付くこともありますので

注意深く観察する事が必要になってきます。

毎日見ている患者さんの表情がいつもより少し浮かない顔している時
声をかけて話しを聞いてあげる

そんな些細なことから始めてみるのもいいかもしれません。

そうは言っても

食事量が低下するとやはり心配になるのは当然のことですね。

Q食事摂取量が低下してきたらどのように対処したらいいですか?

  • バランスのいい食事内容、3回の食事にこだわらず、
    食事の回数を増やして対応してみましょう。

嚥下力が問題の場合は、それに合わせた食事形態の変更
消化管に問題がある場合には、胃腸への負担が少ない

消化に良い食べ物への変更など。

もちろん患者さんが嫌がるのに食事を与えようとすると
食事を摂取する事に対しストレスを感じ、さらに摂取量が低下する
という悪循環に陥ることもあります。
嫌がる時は無理に与えず、間食を利用して、栄養価の高い物を
与えるのもよいかと思います。

周りが必死に様々な料理を並べて

「食べて!食べて!」と言っても食べたくない時だってありますよね。

慌てずに患者さんの一日の生活サイクルや性格などを考えて

時々メニューを見直してみては如何でしょうか。

今回は栄養についての第1段として
基本的な内容をお話ししてみましたがお役に立てたでしょうか?

次回は第5夜は“一日の必要カロリー”についてなど

一歩進んだ内容にしようと思っています。

是非、楽しみにしていて下さいね。