第9夜 サクランボは健康にいいの?

川口です。
桜の時期も終わり、これから世の中に出回ってくる美味しい果物「サクランボ」をテーマとして取り上げます。

Q サクランボにはどのような栄養素が含まれているの?

  • ビタミンCをはじめビタミンB群、カロチン、カリウム、カルシウム、鉄分、食物繊維
    が多く含まれています。

☆一般的には風邪の予防、シミ・ソバカスに対しての美容効果、貧血予防、骨粗鬆症の予防などに効果があります。

今回は特にサクランボに含まれるビタミンCを中心に解説します。

~豆知識~
サクランボの酸味はクエン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸などによるもので、疲労回復、食欲増進、血行促進に効果があります。
実の赤色や紫色はポリフェノールの一種アントシアニンという色素によります。
このアントシアニンには大きく3つの働きがあります。
疲れ目の回復、老化の原因と言われている活性酸素の生成を抑える働き、毛細血管に働かきかけ血液循環の流れを良くしたり細胞への栄養補給を手助けしたりするということです。

Q ビタミンCが不足するとどうなるの?

  • みなさんも聞いたことがあると思いますが壊血病、免疫力の低下、骨粗鬆症などがあげられます。

・壊血病は毛細血管がもろくなってしまい、傷も無いのに体のあらゆる場所から出血する病気です。
最初は歯茎からの出血、皮膚の内出血がおこります。進行してしまうと、全身からの出血をきたし重篤になることがあります。
ビタミンCは細胞同士をしっかり結合させるコラーゲン(タンパク質の一種です)を作る時に必要な栄養素です。
人間の体は何十兆個もの細胞が集まって出来ており、この細胞同士がバラバラになってしまうと、人間の体で一番でもろいと言われている毛細血管から影響が出始めます。そして歯茎からの出血や内出血が多くなるのです。

・次に免疫力の低下です。
ビタミンCは、体内で出来てしまう活性酸素を分解します。
そして老化を遅らせたり白血球の働きを高めます。白血球には皆さんも御存知の通り、体内に侵入してきた病原菌や最近と戦う免疫機能がありますね。
つまりビタミンCが不足すると体内に活性酸素が多くなり、白血球の働きが鈍くなってしまい免疫力が低下してしまうのです。

・次に骨粗鬆症です。
ビタミンCは体の細胞を結合させる働きをしていると説明しましたね。
これは筋肉、皮膚、内臓だけでなく骨についても同じように言えます。
骨は、ほとんどがカルシウムとコラーゲンでできています。しっかりとした骨を作るにはビタミンC、D、Kなどが欠かせないのです。
簡単にこの3つのビタミンがどんな働きをしているかを説明します。
ビタミンCは主にコラーゲンを作り出します。ビタミンKはコラーゲンとカルシウムを結合させます。ビタミンDは骨へのカルシウムの沈着を調整する働きをしています。
このような機序で骨がスカスカになる骨粗鬆症を防いでいるのです。

さてビタミンC不足で成人、乳幼児での症状を下記にあげます。

【成人】
・倦怠感、脱力感、体重減少
・皮膚や粘膜、歯茎からの出血、歯が抜ける
・傷の治りが悪い
・感染への抵抗力が低下
・昔の古傷が開く
・貧血

【乳幼児】
・歯の発生障害(生えてこないなど)
・骨折、骨の変形
・軟骨や骨境界部での出血、血腫
などあげられます。
成人では実際には3~12か月にわたる長期のビタミンC不足が続いた場合に症状が起きます。

治療法は・・・ビタミンCの摂取です!!

~豆知識~
話はさかのぼって大航海時代になります。
長期にわたる航海では多くの乗組員が壊血病で倒れたそうです。当時は原因がわからず、防ぎようのない船乗りの宿命とあきらめられていました。
あの有名なキャプテン・クックが2回目の世界一周航海の際にライムや塩漬け野菜をたくさん積み込み航海に出ました。すると壊血病で倒れたのは1名だったのです。

Q ビタミンCを過剰に摂取するとどうなる?

  • 腹痛や下痢を起こす可能性がある、胃が痛くなる、尿管結石ができてしまうなどの情報を皆さんも耳にした事があると思います。
    1日あたりのビタミンCの摂取上限は特に定められていません。
    過剰に摂取しても消化管からの吸収率が低下し、尿中排泄量が増加するのです。
    尿中に排泄されるビタミンCの大半はシュウ酸という形で出てきます。
    腎臓に障害のある人がビタミンCを大量に摂取し続けると尿中へのシュウ酸排出が多くなり、尿中のシュウ酸がカルシウムと結合して腎臓結石や尿路結石のリスクを高めるという説があります。

☆何事も多く摂ったから健康にいいというのは間違いですね。適度な量をバランスよく摂取する事が大切という事ですね!

ビタミンCの役割を下記のようにまとめます。

☆ビタミンCはコラーゲン合成に大きな役割を持っている。骨や歯、筋肉、血管などの成長や修復にはコラーゲンが必要不可欠であり、その合成の為にビタミンCの働きは大きい。

☆ビタミンCは白血球の働きを助け免疫力を高め、風邪などの感染症に対抗する。

☆ビタミンC(A、Eもですが)は抗酸化ビタミンであり、心筋梗塞、脳卒中、癌などの病気を誘発すると言われている活性酸素を除去する役割がある。

☆ビタミンCは悪玉コレステロール(LDL)を減少させコレステロールを下げる役割がある。

☆ビタミンCは、しみ・そばかすの原因であるメラニン色素が肌に沈着するのを防ぐ役割も担っている。

このようにビタミンCが豊富に含まれている、さくらんぼを食べる事で色々な病気を防ぐことができるのです。
もちろん、さくらんぼ以外の果物にも同じことが言えるのですが、ちょうど5~7月にかけて、さくらんぼが美味しい時期ですので今回はテーマとして取り上げてみました。

次回は、さくらんぼに含まれている他のビタミンについて取り上げようと思います。