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 血液ガス分析について

血液ガス分析(Arterial Blood Gas analysis:ABG)は、動脈血中の酸素(O₂)、二酸化炭素(CO₂)、pH(酸塩基平衡)などを測定する検査です。呼吸・循環・代謝の状態を把握するために非常に重要な検査で、特に重症患者の管理や、呼吸不全・代謝異常の評価に用いられます。通常の静脈からの採血と異なり、手首や肘、大腿部の付け根などの動脈に針を穿刺して採血を行います。

主な検査項目としては以下の様なものがあります。

項目 説明 正常値の目安
pH 血液の酸性・アルカリ性の指標 7.35 – 7.45
PaCO₂ 動脈血中の二酸化炭素分圧(呼吸の指標) 35 – 45 mmHg
PaO₂ 動脈血中の酸素分圧(酸素化の指標) 80 – 100 mmHg
HCO₃⁻(重炭酸イオン) 緩衝作用を示す代謝性の指標 22 – 26 mEq/L
SaO₂(酸素飽和度) ヘモグロビンが酸素と結合している割合 95 – 98%
BE(Base Excess) 酸塩基平衡の代謝性側面 ±2 mEq/L

通常の採血よりも患者さんへの侵襲度は高いですが、COPDや肺炎などの呼吸不全の診断と評価に用いることができ、その他、体内の酸塩基平衡異常(代謝性アシドーシスや呼吸性アルカローシスなど)の評価、酸素療法や人工呼吸器管理中の呼吸状態の評価、敗血症などの全身状態把握などにも有用です。

在宅医療の現場でも検査が可能で、あすかホームケアクリニックでは特に筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者さんの呼吸状態の評価の際によく使用しています。二酸化炭素分圧(PaCO2)が高くなってきている場合には呼吸筋の筋力低下が進行していることが示唆されますのでスパイロメーターの検査と併用することで、非侵襲的陽圧換気(NPPV)の導入時期や気管切開が必要となってくる時期の予測に役立てることができます。

また、意識障害の鑑別として血中ナトリウムの濃度などの測定に使用することもあります。これもまた、在宅医療ならではの、今ある環境、リソースを最大限に活かした診療と言えるでしょう。

あすかホームケアクリニックでは患者さんの声に耳を傾けながら、様々な創意工夫で「顔の見える地域医療」を盛り上げてゆきます!気になる方はいつでもご相談くださいね!!

血ガス

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 熱中症

 こんにちは!あすかホームケアクリニックの黒木です。
今日は「熱中症」についてです。桜が綺麗な時期もあっという間に過ぎさり、段々と温かくなってきました。本格的な春到来って感じですね!
そんま春でも意外と注意しないといけないのが熱中症です。特に気温が急に上がった日や、湿度が高い日などに注意が必要で、夏場よりもリスクが高かったりします。

その理由としては、

  • 体が暑さに慣れていない
  • 気温がそこまで高くないため油断しやすい
  • 運動会や屋外活動が多い

などが挙げられます。

冬を越したばかりの体は、暑さへの適応力が低く、汗が出にくいため体温調整がうまくいかないことがあります。春は30℃を超えるような日が少ないですが、20〜25℃でも湿度が高いと熱中症のリスクがあります。また、春は遠足やスポーツイベントが多く、長時間外にいることでそのリスクが高まります。

その予防策としては

  • のどが渇く前に水分をこまめに摂る
  • 日差しを避ける帽子や日傘の活用
  • 通気性のよい服を選ぶ
  • 暑い日に外で無理をしない
  • 天気予報や熱中症情報をチェックする

熱中症のサインとしては

  • めまい、立ちくらみ
  • 頭痛、吐き気
  • 異常な発汗、汗が止まる
  • 意識がもうろうとする

などがあります。これらの症状が出たらすぐに休んで、水分・塩分を摂取し、涼しい場所へ移動。症状がひどい場合は迷わず救急車を呼びましょう

気温がまだそれほど高くない春こそ、油断せずに早めの対策をしておくと安心ですね!!

熱中症 イメージ

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あすかホームケアクリニック
院長 黒木卓馬

 当会のすごいスタッフ

つい1か月ほど前のまだ寒い土曜日、当会の仲良し女子グループにお誘いをうけた。午後に池袋で会合があったので、ちょっと早めに出て久々に都外へ。

指定された場所は静かな公園の中にあり、追い立てられる毎日を忘れさせてくれるような心地よさに少しだけ散策。

公園

春の予感を堪能しながら池向こうの美術館に到着した。

美術館

さてなにが始まるのだろう、プチ旅行気分でもう満足してしまっているのだが、入口に貼られたポスターに目をやる。

書展

どうやら書展のようだ。達筆すぎるあまり、

“書類が読めません!”

というクレームが常態化している身としては、縁の薄い領域だ。

館内に入ると外とは対称的に盛況、静かな熱量を感じる。文字を単なる記号として記載するだけではなく、魂を揺さぶる造形として意味以上のメッセージを伝える芸術に昇華させているのだと理解したころに、

書展

彼女がいた。

日頃ほぼすっぴん髪振り乱し訪問診療をサポートしてくれているさまが、まるで幻であるかのような静かな雰囲気をたたえている。そしてこれがその作品。

書道展示

 “やじま、おまえ、すごいやつだったんだな(感動・泣)・・・”

いま一生懸命地域医療に尽力している当会矢島アシスタントは、幼少期から書の修行も続け、今ではその筋で有名な人物になっていることを知った。
 一つのことに熱中して継続できる、ということは、それ自体がとても優れた才能だと思う。その結果成し遂げた作品を観ながら、グループの将来を担う頼もしい存在になっていくのだろうと期待を膨らませた。

取り急ぎ、手書きの書類は彼女に頼もうかな。

藤元

書道展示

 スパイロメーターの検査が可能となりました!

こんにちは、あすかホームケアクリニックです!

当クリニックではスパイロメーターの検査が可能となりました!

スパイロメーターとは、肺の働きや呼吸能力を測定する医療機器です。肺活量検査とも呼ばれ、肺の病気が疑われる場合や、呼吸器疾患の診断、治療効果の判定などに用いられます。
通常は比較的大掛かりな機器を用いて検査を行いますが、在宅医療では簡易的な機器を使用します。この検査では、肺年齢を測定するとともに、慢性閉塞性肺疾患(COPD)・喘息・間質性肺炎などの呼吸器疾患の診断や治療効果の判定に用いることができます。

また、肺活量を測定することができるため筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの筋疾患の病状の進行予測もすることができます。血液ガス検査と併用することで、非侵襲的陽圧換気(NPPV)の導入時期や気管切開が必要となってくる時期の予測に役立ちます。

訪問診療では、病院診療とすべて同じ検査はできませんが、今ある環境、リソースを最大限に活かして診療を行う必要があります。あすかホームケアクリニックでは患者さんの声に耳を傾けながら、様々な創意工夫で「顔の見える地域医療」を盛り上げてゆきます!気になる方はいつでもご相談くださいね!!

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院長 黒木卓馬

 家庭菜園にも春がやってきました

3月上旬に種まきした、こちらの野菜は、双葉から本葉が・・・
こちらの野菜は、何かわかりますか? ヒントは、ややギザギザの葉っぱ!!サラダにもお鍋にも重宝するお野菜です。

答えは、4月後半の収獲でお知らせいたします。

もう一つ育てているのは、ステックセニョール(茎ブロッコリー)です。
最近、スーパーでも見かけるようになりましたね??
この野菜は、アブラナ科なのでこれからは、アオムシさんがやってきます。
葉っぱを食べられないよう戦っていきます。

家庭菜園1
家庭菜園2

 城北地域医療 TSUNAGU Project vol.5

こんにちは!
「城北地域医療 TSUNAGU Project vol.5」のお知らせです。
「顔の見える地域連携」を体現すべく地域全体を一つのチームとして捉え、地域連携をより円滑に行うことを目的とした勉強会、いつもは院内で開催していましたが、有難いことに今回は参加者多数のため北とぴあに会場を移しての開催になります。

今回は神経難病のひとつ、「ALS」をテーマに、補助具や意思伝達装置などに実際に触れられる機会も設けようかと思っています。

ロゼバラミンなどの新薬の登場で耳にする機会も多くなっているかもしれません。「寝たきり」「難病」のイメージがありますが、今回はそんなALSという病気とどう付き合えばよいのか、ということを中心にお話させていただこうと思います。
詳細は以下ご参照ください。

【勉強会の詳細】
テーマ:「ALSってなぁに?」
日 時:2025年3月21日(金)18:30-20:00
場 所:北とぴあ
〒114-8503 東京都北区王子1丁目11−1
参加費:無料

今回は満員御礼となっており、参加受付を締め切らせていただきました。
ご参加いただける予定の方は当日お会いできるのを楽しみにしております!

あすかホームケアクリニック
院長 黒木卓馬

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お気軽にお問合せ下さい
TEL:03-5963-5980
FAX:03-5963-5981
Mail: asuka@homecareclinic.or.jp

TUNAGU Vol.5

 家庭菜園3年目に突入です

区民農園で野菜を育てています🥬

3月は、春夏野菜を育てるための土作り
(言うまででもありませんが、土作りの数日後は全身筋肉痛です)
そのあとは、種まき 定植です

どんな野菜を育てるか、これからが楽しみです

春夏野菜を育てるための土作り

 軽度認知症「MCI」について

こんにちは!あすかホームケアクリニックの黒木です。
今日は軽度認知症、「MCI」についてです。
現在、65歳以上の約16%が認知症であると推計されており、「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」の推計では、2025年には約675万人(有病率18.5%)と5.4人に1人程度が認知症になると予測されており、深刻な社会問題となっています。

また、最近は認知症の前段階であるMild Cognitive Impairment (MCI)という概念も注目されています。簡単にいうと、正常でもないが認知症でもない状態で、軽度認知機能の低下はあるものの日常生活には影響のない状態のことです。高齢化率も高くなっている本邦ではMCIの方も数多くいると考えられますが、MCIの時期に何もせずに過ごしていると、1年で10%、4年で40%が認知症に移行すると報告されています。しかしMCIの時期では、「30%は健常に戻る」可能性があることも分っています。適切な予防に取り組めば、より高い確率で健常に回復するという報告もあります。また、早期であればあるほど健常に回復しやすいとも考えられています。(日本神経学会「認知症疾患診療ガイドライン2017」)

MCIの初期症状としては、

  • 何度も同じことを尋ねる
  • 物の名前が出にくくなった
  • 注意力が低下した
  • 仕事にミスが増え、支障がでるようになった
  • 約束を忘れてしまうことが増えた
  • 意欲が低下して、趣味や外出に消極的になった
  • 突然電車の乗り継ぎがわからなくなったり、道に迷うなどの経験をした
  • 物を探し回ることが増えた
  • 整理整頓が難しくなり、部屋が散らかるようになった
  • 料理の味付けが以前と変わった
  • 決まった料理ばかり作るようになった
  • 賞味期限切れの食べ物が増えた

などの症状があげられますが、中には個人の元々の性格や得手不得手などもあるため評価には注意が必要です。

抗認知症薬については、これまでにも多くの研究がされてきており、「ドネペジル」「リバスチグミン」「ガランタミン」「メマンチン」の主に4種類のお薬が使用されてきていましたが、いずれも認知症が明らかになってから使用するお薬で、根本的な解決は難しい状況でした。

今回登場した「レカネマブ」は疾患修飾薬という新しい視点から、早期の段階で認知症の進行を予防するお薬になります。同様の作用機序の「ドナネマブ」というお薬も登場しています。これらのお薬は、「アルツハイマー病の原因に働きかける世界ではじめての治療薬」として大きな期待が寄せられています。

「レカネマブ」について

Christopher H. van Dyck, et al., Lecanemab in Early Alzheimer’s Disease, N Engl J Med 2023; 388:9-21

少しずつ広がってきているこれらのお薬ですが、あすかホームケアクリニックでは、日本国内ではじめて、在宅でのレカネマブの投与を行いました!現在も在宅でこのお薬を継続している患者さんはあまりいらっしゃらないですが、「足腰が悪く通院が困難でも認知面は元気に保ちたい」などのニーズもあり、当院では積極的に受け入れを行っています。

あすかホームケアクリニック・黒木先生・診察
レケンビ点滴静注

超高齢化社会となっている時代に訪問診療でも早期発見・早期治療を行って積極的に地域に貢献できればよいなと思っています。
気になることなどあればいつでもご相談くださいね!

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 ハイキング同好会 活動開始!

先日、職場の有志が集まり、ハイキングを行いました。
コロナ以前は当会でも登山やスキーなどのイベントが盛んでしたが、コロナ以降は行事の減少や職員の増加により、なかなか機会がありませんでした。
そんな中、有志が集まり、ハイキング同好会として新たな一歩を踏み出しました。

記念すべき第一回は、青梅市にある御岳山へ新春参り。登山は小学校以来というメンバーもいましたが、山の神様にご挨拶し、冬晴れの気持ち良い一日を満喫しました。
普段の職場とは違うリラックスした雰囲気の中で交流ができ、心身ともにリフレッシュ!とても有意義な時間となりました。

今後も楽しくこのような活動を続けていきたいと思っています!

鳳優会ハイキング同好会

 院内紹介(あすかホームケアクリニック)

こんにちは!あすかホームケアクリニックです。
あすかホームケアクリニックでは「顔の見える地域医療」をモットーに、患者さんはもちろん、ご家族、看護師さん、ケアマネジャーさんなど地域の方々とのつながりを大切にして訪問診療を行っています。

いつでも気軽に相談できる、でも専門的な治療もできちゃう、そんな頼りになる存在を目指してスタッフ一同日々頑張っています!
職場の雰囲気はとても風通しがよく、和気あいあいとしていますが、みんな向上心が高く意見交換も活発なので日々勉強になっています。

最近ではALSの新規治療薬であるロゼバラミンやパーキンソン病の治療デバイスであるヴィアレブ、認知症の新薬であるレカヌマブ(在宅医療では当院が日本初です!)など、特に脳神経内科の領域でのトピックスも多く、和やかな中にも緊張感をもって業務に当たっています。これらについてはまた別のブログでご紹介させていただきます!

そんなあすかホームケアクリニックでは現在、地域医療を一緒に盛り上げてくれるスタッフさんを募集中しています!医師の診療同行や内勤事務業務など、資格を持たない未経験者でも丁寧に指導しながらやってゆきますので大丈夫です!!
気になる方がいらっしゃいましたら是非お気軽にお問合せくださいませ。

コメディカルドットコム求人特設ページ】https://www.co-medical.com/workplace/article818/

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