訪問診療の現場で

8月の1か月間、荏原ホームケアクリニックで研修をさせていただいています、

2年目の研修医です。

今日はこの1か月で学んだこと、感じたことの一部を、

書かせていただきたいと思います。

 

私は普段、大学病院で研修医として働いています。

約1年半、病院に勤務して、様々な患者さんに出会ってきました。

入院して良くなって、退院していく患者さんも

もちろんたくさんいらっしゃいましたが、様々な事情から、

なかなかおうちに帰れない方にも、多く出会いました。

 

「先生、家に帰りたいんです。家に帰ったら、きっと具合も良くなる気がします」

 

そんな訴えを聞いて、なんとかその人が退院できないか考える中で、

制度やサポート体制の問題など、患者さんの体調以外の様々な障害につきあたって、

歯がゆい思いをしたことも、1度や2度ではありません。

 

そんな中で在宅医療に触れる機会を得て興味を持ち、

こちらのクリニックでの研修を決めました。

 

訪問診療に同行させていただいて強く感じたことは、

患者さんと先生方の関係の深さでした。

 

高度な医療機器もなく、検査も限られる訪問診療の現場では、

患者さんやご家族の言葉や、毎回の診察の所見が、

その方の状態を把握する最も重要な材料です。

 

毎回丁寧にお話を聞き、1つ1つ診察していくことの大切さを、改めて感じました。

患者さん1人1人、病気の状態も家庭環境も違います。

先生方は、それをひとつひとつ考え、1人1人が望む場所で望む

医療を受けられるように、と心を砕いていらっしゃいました。

 

訪問診療の現場では、様々な職種の方々が、様々な角度から、

患者さんやご家族とともに、その生活を支えていこうとしています。

病気を診るだけでなく、その生活を守るということが、

患者さんやご家族にとってどれほど大切か、肌で感じることができました。

今回クリニックで勉強させていただいて、

病院で働いているだけではわからないことを、たくさん知ることができました。

これからも、患者さんやご家族の立場に立って、

それぞれの生活を考えるという視点を忘れず、勉強を続けていきたいと思います。

 

どうもありがとうございました。