患者をみる

10月に荏原ホームクリニックで研修させていただいている2年目研修医加賀です。

 

地域医療としてここの研修を選択した理由は、私の研修している大学付属病院の

脳神経内科の先生に紹介されたこと、もともと将来開業志望があり

地域の患者さんとの関わりを学びたいと思ったためです。

 

訪問診療という言葉はよく聞いていましたが、実際どのような医療を

どこまで行っているのか全く知りませんでした。

しかし、実際に研修をしていく中で検査機器が揃っている大学病院とは異なり、

限られた検査で診療を行っており、改めて、問診、診察の大切さを実感しました。

先生方は診察にて患者さんのそれぞれのどこにお肉がついてどこが痩せたかなど

以前とどう身体が変化したか、身体をくまなく触って診察することで

細かい身体の変化まで把握しています。

 

私は研修病院ではそこまで身体を細かく触ることができておらず、

一般的な身体所見のみで日常と比較して身体の筋肉や脂肪が

どう変化しているかまで考えたことはありませんでした。

しかし、患者さんの栄養状態を把握する上でとても大事なことであり、

特に在宅では経口摂取が困難であり胃瘻が造設されている患者さんが大変多く、

口腔内が乾燥していないか、皮膚のハリがいつもと異なるか、

手足が細くなっていないか、逆に浮腫んでいないか等、

栄養状態を把握する診察をするのはもちろんですが、

その細かい変化に気づくためには日常毎日しっかり患者さん達の身体を触って

診察していくのが大事だと思いました。

 

また、ご高齢のため様々な疾患を抱えている患者さんが多いと感じました。

糖尿病、高血圧、脂質代謝異常、心疾患はもちろんのこと

認知症やパーキンソン病、脳梗塞などにより寝たきりになっている患者さん、

気管切開、胃瘻造設、尿バルーンカテーテルにより呼吸状態、食事、尿量を

管理されている患者さんがたくさんいらっしゃいました。

 

この患者さん達の診察・治療を行うのはもちろんですが、

その患者さんを支えていく家族のケア・管理していく上での

身体的・社会的なフォローを行っていくのが訪問診療の役割の一つだと実感しました。

 

独居の方もいらっしゃって、そういった方は、

ヘルパー、デイケア、看護師、ケアマネジャーと協力し話し合って

方針を決めており、ただの医療だけではなく社会的背景を踏まえた上で

地域の医療従事者達と連携して患者さんを診(看)ていく大切さを学びました。

 

私の祖父は不整脈でペースメーカー、腎不全で透析、大腸癌で結腸切除術、

腹部大動脈瘤で人工血管置換術を受けています。

また、祖母は脳梗塞によりブローカー失語、大腸癌で結腸切除術を受けており、

祖父と二人で暮らしております。

祖母は潔癖症で他人が家に入ってくるのを拒む人のため、

私の母が食事・洗濯・金銭・仕事の面倒、病院の受診・入院の面倒をみております。

私の母も介護により、足に負担がかかり軽度の右変形股関節症が出てきています。

 

今はなんとかうまくいっていますが、いつか共倒れする可能性もあります。

このように、実際自分の家庭で介護問題があるため、

今回の研修では自分の家庭と照らし合わせながら、

訪問診療について考えることができました。

 

今回は一か月という短い期間の研修でしたが、今後開業をする前に

もう一度勉強しに参りたいと思いました。

 

一ヶ月間、どうもありがとうございました。