第32夜 ヒドロモルフォン(強オピオイド)について

川口です。

夏と言えば筋トレですね!
薄着になり訪問診療の際に御家族から「先生、体を鍛えているんですね」と言われてテンションが上がる今日この頃です。

今回はヒドロモルフォンという強オピオイドについてです。

徐放性製剤のナルサス
即放性製剤のナルラピド…レスキュー製剤です
注射製剤のナルベイン

上記の3種類があります。
ナルサスには2㎎、6㎎、12㎎、24㎎の4つがあります。
ナルラピドには1㎎、2㎎、4㎎の3つがあります。
ナルベイン注には2㎎/1ml、20㎎/2mlの2つがあります。

Q:ヒドロモルフォンはどんな薬?

モルヒネと構造的に似ていて鎮痛効果はモルヒネやオキシコドンと同等と言われています。
☆ヒドロモルフォンは同用量のモルヒネ経口薬の約5倍の効果があります☆
つまり…
MSコンチン10㎎を朝1錠、夕1錠内服していて計20㎎であればナルサス4㎎と同等となります。

Q:どのような利点があるのでしょうか?

  • ナルサスは1日1回の内服で済みます。内服負担が少なくなります。
  • オピオイドを少ない量から開始できます。
  • 経口モルヒネで使用する場合20㎎/日が最低量になります。
  • MSコンチン10㎎ 2錠 分2 朝、昼
  • ナルサスは2㎎(経口モルヒネ10㎎換算)があります。
  • ・腎機能障害時の傾眠・せん妄などの副作用がモルヒネより軽度、オキシコドンと同等です。

ナルサス、ナルラピドが内服できなくなった場合、今までは他の薬剤(座薬、貼布薬、注射製剤)で対応するしかありませんでしたが…
☆ナルベインが在宅でも使用できるようになりました!☆
ナルベインはナルサス(内服)の約1/5に相当します。
モルヒネ注の約1/8、オキシコドン注の約1/10に相当します。

Q:どのような利点があるのでしょうか?

  • ・同じオピオイドで内服から注射剤への切り替えが可能。
  • ・持続点滴で高用量のオピオイドが使用できる。
  • 例えば高用量のモルヒネ注射を行う事で皮下点滴部の発赤が強くなる、硬結が出現するなどあればナルベインに変更してみるという選択肢があります。
  • ・ヒドロモルフォンはオキシコドンより薬物相互作用が少ないです。
  • 様々な疾患を抱えているケースでは多種の薬剤を使用している事が多く、薬物相互作用が少ないヒドロモルフォンのようなオピオイドは使用しやすいという利点もあります。

今回はここまでにしましょう。
いつか筋トレについて勉強部屋で取り上げたいところです。