第27夜 緩和医療について〜オピオイドについて③〜

川口です。
もうすぐハロウィンですね。
我が家では子供の仮装用の衣装を皆で作っています。
今回はオピオイド持続点滴を導入した別の症例を説明します。

~オピオイドローテーション、内服から持続点滴へ切り替え~

Q:オピオイドローテーションって何?

オピオイドの副作用により薬剤の効果を得るだけの量を投与できない時、薬剤の効果が不十分な時に、投与中のオピオイドを他のオピオイドに変更する事です。
~症例~
70歳 女性
大腸癌 多発肺転移 多発肝転移
経口摂取量は少なく中心静脈ポートから高カロリー点滴を行っている。
肝腫大による右季肋部痛、肺転移による咳嗽・呼吸苦を認める。
在宅酸素を使用している。
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【内服】
ネキシウム20㎎ 1カプセル 就寝時…胃潰瘍予防の薬
デカドロン0.5㎎ 4錠 分2 朝、昼…ステロイド製剤
酸化マグネシウム250㎎ 6錠 分3 朝、昼、夕…下剤
ノバミン5㎎ 3錠 分3 朝、昼、夕…オピオイドによる吐き気予防
セレコックス100㎎ 2錠 分2 朝、夕…NSAIDS鎮痛剤
リン酸コデイン20㎎ 6錠 分3 朝、昼、夕…咳止めとして使用
オキシコドン5㎎ 2錠 分2 朝、夕…オピオイド
オキノーム散 2.5㎎ 疼痛時頓用…オピオイド 
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【経過】
疼痛はオキシコドンでNRS1、レスキュー使用頻度もなく落ち着いていた。
呼吸苦・咳嗽が増悪傾向にありリン酸コデイン、オキシコドンでは緩和できていなかった。
定期薬のオキシコドンは継続、リン酸コデインを中止し頓用薬をオキノーム散からオプソ5㎎に変更

・モルヒネを使用する事で、息苦しいと感じる中枢の感受性低下、鎮咳作用、呼吸回数を少なくすることで酸素消費量の減少が期待できます。
・リン酸コデインは代謝過程で約10%がモルヒネになります。

患者さんは内服を整理、減らせるものは減らしてほしいという希望がありました。そこでリン酸コデインを増量するより中止しモルヒネに切り替えていく方針としました。

オプソを使用する事で呼吸苦・咳嗽が軽減、疼痛の悪化も認めなかった。
オプソの使用量をもとにMSコンチンを開始。オキシコドンは中止。
オプソ5㎎を平均して1日に6,7回使用していた。
MSコンチン10㎎ 4錠 分2 朝、夕
レスキューはオプソ5㎎

☆これでオキシコドンからモルヒネにローテーションされました。☆

その後、徐々に増量しMSコンチン60㎎、レスキューのオプソは10㎎に変更。
MSコンチン60㎎、レスキューの使用回数は4~6回。
その頃より徐々に経口内服が困難になった。

モルヒネ持続点滴に変更。(全身状態低下あり内服量の約1/3に)
CADDポンプを使用し塩酸モルヒネ10ml(100㎎)+生理食塩水90ml 計100ml 1.5ml/時で開始(36㎎/日)した。

Q:他にオピオイドローテーションをしないといけない時は?

使用しているオピオイドの副作用(せん妄、眠気、吐き気、嘔吐、便秘など)がひどい場合です。

例えばモルヒネやオキシコドンを使用していて便秘がひどく(各種内服しても改善しない場合)フェンタニル貼布薬へ変更する場合があります。
高度の腎不全がある場合、モルヒネの代謝産物であるM6G、M3Gの排泄が低下し蓄積する事で副作用が出現しやすい可能性が高くオキシコドンやフェンタニルへの変更が有効な時があります。

~実際のローテーション法~
換算表に従い現在のオピオイドと新しく使用したいオピオイドの換算量を計算します。現在使用しているオピオイドが比較的大量投与の場合は一度に変更せずに数回に分けて(数日)ローテーションしていきます。
☆計算上の換算量はあくまで目安です。患者さんの状態、年齢(高齢者の場合)で実際は微調整します。

~換算表(大体の目安です)~
コデイン200㎎/日=モルヒネ30㎎/日(内服)15㎎/日(注射)=オキシコドン20㎎/日(内服)、15㎎/日(注射)=フェントステープ1㎎/日、デュロテップMTパッチ2.1㎎/3日、フェンタニル0.3㎎/日(注射)=タペンタドール100㎎/日=トラマドール150㎎/日(内服)、150㎎/日(注射)
(座薬に関しては前回に換算を記載してあります)

今回説明した通り、症状により必用に応じて他のオピオイドへ変更する場合があります。オピオイドを使用していて困っている症状がある時は遠慮なく主治医に相談しましょう!
次回はオピオイドを使用していても苦痛緩和困難だった症例を取り上げます。