第1夜 夏の敵 脱水 ➀

夏の暑い時期は脱水が怖いですね。油断すると、思わぬ合併症を起こすこともあり日頃から十分な予防と対策が必要です。在宅医療の勉強部屋第1夜はそんな脱水に対しての注意点を皆様に知って頂こうと思います。

まずは素朴な疑問として

Q何故高齢者は脱水になりやすいのでしょうか?

というご質問をよく頂きます。

  • 水分の摂取不足。
    1. 頻尿や失禁を恐れて飲水制限してしまう。
    2. 認知症による飲もうという意識の低下。
    3. 嚥下機能の低下で、水分が十分に飲めない。
  • 水分排泄の増加。
    1. 腎臓の機能が低下して、薄い尿を多く排泄してしまう。
    2. 利尿剤を使用している方も注意が必要。
  • 体内の水分量の減少 。
    1. 加齢による代謝の低下。

こういった理由のため、高齢者は水分不足に陥り易いので日頃からしっかり配慮することが 大事だという事が分かりますね。

大事だと分かってはいるものの高齢者の方に自己管理をお任せするのは事実難しいこと。そういう時こそご家族や、ケアマネジャー、訪問看護師など等患者さんに携わっている周りのサポートが活きて来ますよ!

次に、「脱水に気をつけましょう」と診察時にお話しするとよく患者さんのご家族から

Q家族が気付く脱水のサインにはどんなものがあるのでしょうか?

と聞かれます。

  1. 口の渇きがあり口唇、舌が乾燥する。
  2. 皮膚が乾燥する。
  3. 食欲が無くなり、尿量が減少する。
  4. 発熱、頭痛、めまい、頻脈、低血圧が出現する。

簡単にお答えすると1~4が脱水の分かり易い目安です。体に占める水分量の割合が50%以上である事からも体にとって水分が必要であることが
ご理解頂けると思います。(図1表参照)ひどくなると意識を失う、痙攣(けいれん)なども出現する事があります。最も怖いのは血がドロドロになり、心筋梗塞、脳梗塞の危険性が高くなる事ですね。

体に占める水分量お割合

脱水は気付かないうちに進行してしまいます。
「あれ?何か元気がないなぁ」
「話しかけてもボーッとしている」
「皮膚がガサガサしているな」
「トイレに行く回数が少ないな」
そんな事を感じながらも
「明日になれば治るかな?」
「その内良くなるよね・・」
と思っている時もあるのではないでしょうか?
脱水という症状は放っておくと自分の力で水を飲む事が出来なくなり
点滴治療が必要になることもしばしばあります。
点滴で患者さんに痛い思いをさせるのは医師も家族も嫌なものです。
だからこそ、そのような状態になる前に事前に防いで行くようにしましょう。
僕も夏場の往診中は必ず手元に飲料水を用意していますよ!

私はよく高齢者の患者さんに「こまめに水分を摂ってください!」とお話しします。
元気な方の目安としては、500mlのペットボトルを用意してもらい、

好きな物でいいので、1日で2本を目安に飲んでくださいと説明しています。
(体格、病気などによって制限が必要な方もいます。まず主治医に御相談を!)

そして、室温調整も大事!
年齢とともに、体温調整能力が徐々に衰えていきます。
このため、クーラーをきちんとつけておくことが、非常に大切になってきます。
今夏は特に気温が高いため熱中症で救急搬送される方が増加の一途を辿っています。
徐々に厳しい残暑も和らいで来たとしても
「私は大丈夫」と過信せず日々注意するよう心がけて下さいね。

勉強部屋第2夜は「夏の敵!脱水➁」を勉強中。
是非、お楽しみに~。