第15夜 胃瘻(いろう)について ②

川口です。 
もう梅雨明けしましたね。熱中症予防に努めないといけない季節になってきました。今回は胃瘻について第2弾です。
実際に胃瘻を利用している方から頂く事が多い質問事項を例に説明します。

Q 胃瘻カテーテルにはどのような種類があるの?

胃瘻カテーテルは抜けないように胃内固定盤と体外固定盤で止めています。胃内固定盤にはバルーン(水風船)型とバンパー型があります。体外固定盤にはチューブ型とボタン型があります。胃内の形2種類×体外の形2種類の計4種類になります。

(胃瘻イメージ)
胃ろう

(胃瘻キット、バルーン型イメージ)
胃ろうバルーン型

豆知識
バルーン型の特徴:風船内の蒸留水を抜いて交換を行うのでベッドサイドで交換可能です。交換頻度は1~2か月です。
バンパー型の特徴:簡単に抜ける事が無いので交換の頻度はおおよそ半年です。交換に内視鏡または透視などの設備が必要です。
ボタン型の特徴:見た目が目立たずスッキリしています。栄養を入れる際に
ボタンを開けてチューブと接続するひと手間が必要です。
チューブ型の特徴:栄養を落とす際、ボタン型と異なり比較的簡単に実施できます。チューブを一定以上の力で引っ張ると抜けてしまうという危険性があります。

Q 胃瘻カテーテルが抜けてしまったらどうしたらいい?

胃瘻の穴はわずか数時間で縮小し約24時間程度で閉じてしまうと言われています。出来るだけ早くカテーテルを再挿入する必要があります。医療機関にすぐ連絡し指示を仰がないといけません。在宅医が入っているケースでは在宅クリニックに連絡し往診してもらいましょう。

Q 胃瘻カテーテルの汚れが目立つが掃除する必要はありますか?

チューブ内に栄養剤や薬剤が付着し放置すると、カビが生えたり変色して悪臭を放つことがあります。使用後、食用酢を10倍に薄めて注入すると綺麗になります。また薬を注入する際に使用する注射器も使い続けていると滑りが悪くなるので定期的に新しいものに交換する必要があります。

Q 胃瘻の周りは清潔にしないといけないの?

胃瘻周囲の皮膚炎、不良肉芽(にくげ)、皮膚潰瘍が生じる事があります。
不良肉芽とは胃瘻の周りに粘膜が赤く盛り上がった状態です。原因としては不潔な状態で放置されている事、カテーテルがきつく固定されている事、カテーテルの劣化などが原因です。特別な処置は必要ありませんが場合によっては軟膏処置や医療処置が必要になる事もあります。皮膚炎は胃瘻部から消化液などの漏れによって生じます。水道水を使用して毎日洗う必要があります。
放置する事で様々なトラブルが発生し、悪化する事で胃瘻が使用できなくなる
場合があるので清潔に保つ事が重要です!

(胃瘻周囲の皮膚炎イメージ)
胃ろう周辺炎

豆知識
胃瘻からの漏れがある場合、皮膚を守るためにティッシュペーパーでこよりを使って胃瘻チューブの根本に巻き付ける方法があります。

Q 胃瘻の栄養はどれくらいの時間をかけるの?

人によって差はあります。目安として200mlを1時間程度です。使用する栄養剤、体格、病状によって異なります。胃瘻増設の入院中に指導されますのでご安心ください。

先月に続いて胃瘻を利用されている、今後使用を考えている方からの代表的な質問をもとに解説しました。その他にも質問、悩みなどあるようでしたら主治医に積極的に相談してみましょう。
この原稿がアップされるときは真夏でしょう。皆さん、夏バテにならないようにしましょう!