第13夜 骨粗鬆症について(第2回目)

川口です。 
ゴールデンウィークも終わりましたね。皆さん、新生活に少しずつ慣れてきたでしょうか?今回は骨粗鬆症について(第2回目)です。運動療法と薬物療法が今回のテーマです。

Q どんな運動がいいの?

骨にかかる力が大きい方が強くなります。ですが無理に激しい運動を行う必要はありません。日々の生活に取り入れやすいウォーキングは、骨にかかる力は大きくありませんが継続して行うと効果が期待できます。

散歩の習慣がある方は、正しい姿勢で行う事で背中がよく伸び骨が強くなると言われています。脚力もつくので転びにくくなります。

生活の中に散歩、もし散歩を取り入れる時間が無いようであれば、こまめに家事をするなど活動的な習慣を取り入れる事が大切です。

働いていたり、介護をしているとなかなか運動に時間を費やす事はできないかもしれません。極力歩く、買い物の際は階段を使うなど日々の生活を変えてみるのはいかがでしょう!

Q 骨粗鬆症の治療はどのような種類があるの?

骨吸収を抑制する薬、骨の形成を促進する薬、その他の3つに分けられます。現在、骨粗鬆症の治療薬は次々に開発されています。患者さんの症状や進行度、ライフスタイルなどに合わせて選択できるようになっています。

☆患者さんによっては内服困難な方、内服ができても内服時間、内服方法を守る事が出来ない方もいらっしゃいます。内服がどうしても困難な方であれば注射、点滴薬を選択する事があります☆

Q 骨吸収を抑制する薬にはどのような種類があるの?

女性ホルモン製剤(エストロゲン)、ビスホスホネート製剤、SERM(サームと呼びます)、カルシトニン製剤、デノスマブが挙げられます。

それぞれについて簡単に説明します。

ビスホスホネート製剤:
代表的な薬剤です。破骨細胞に作用し過剰な骨吸収を抑えます。毎日、週に1回、月に1回のタイプの内服薬があります。内服する際の注意点としては朝起きた時にコップ1杯(約180ml)の水で噛まずに内服、内服後少なくとも30分は横にならない(60分の物もあります)などが挙げられます。内服薬のほかには月に1回の注射薬、月に1回の点滴薬、年に1回の点滴薬もあります。

SERM(サーム):
骨に対してエストロゲンと似た作用で骨を強くしますが骨以外の乳房や子宮などの臓器には作用しません。

カルシトニン製剤:
注射薬です。骨粗鬆症に伴う背中や腰の痛みを軽減する作用もあります。

デノスマブ:
6か月に1回の皮下注射製剤です。破骨細胞の形成や活性化に関与するLANKリガンドと呼ばれるたんぱく質に作用して骨吸収を抑制します。

Q 骨の形成を促進する薬にはどんな種類があるの?

活性型ビタミンD3製剤、ビタミンK2製剤、テリパラチドが挙げられます。

活性型ビタミンD3製剤:
古くから使用されている薬剤です。食事で摂取したカルシウムを腸管が吸収するのを手助けします。

ビタミンK2製剤:
骨形成を促進する作用があります。

テリパラチド:
副甲状腺ホルモン製剤です。新しい骨を作る骨芽細胞を活性化させます。骨折リスクが高い患者さんに適しています。1日1回、患者さん自身もしくは家族が行う皮下注射製剤と1週間に1回、医療機関で行う皮下注射製剤があります。1週間に1回の製剤は訪問医、訪問看護師(医師の指示があれば可能)で行う事も可能です。

その他にはカルシウム製剤が挙げられます。カルシウムは骨を作る上で欠かすことができないミネラルです。

今回は簡単にそれぞれの治療薬について説明しました。今後、高齢者が増えていきます。それに伴い骨粗鬆症の患者さんも増えていくと予測されます。我々は患者さんに合わせて適切な治療方法を選択する必要があり、また新しい治療薬も増えてきており日々、勉強しております。何かありましたら気軽に医師に相談してみてはいかがでしょうか?