第12夜 骨粗鬆症について(第1回目)

川口です。 
もうすっかり春ですね。お花見シーズンも終わり新生活に慣れ始める時期ですね。公園に行ってみるとウォーキングをしている方をよく見かけます。適度な運動習慣は生活習慣病予防、骨粗鬆症予防につながります。今回は骨粗鬆症について(第1回目)です。
 

Q 骨粗鬆症とは?

骨の強度が低下して骨折しやすくなる病気を骨粗鬆症と言います。骨がもろくなると、わずかな衝撃でも骨折してしまう事があります。骨折も場合によって手術、その後リハビリを行うため長期入院になる事があります。

豆知識
骨は、骨吸収(古くなった部分を壊す)と骨形成(新しい骨に作り替える)のサイクルが常に動いて、強度を保っています。これを骨代謝と言います。女性ホルモンであるエストロゲンは、このサイクルのバランスを保っています。
女性は閉経するとエストロゲンの分泌が低下します。エストロゲンが低下し上記サイクルのバランスが崩れると、骨形成より骨吸収が優位になり骨密度が低下します。エストロゲンの値が急激に減少しない男性は女性より骨密度の低下が緩やかです。

Q 骨粗鬆症になり骨が折れやすい場所は?

背骨(脊椎圧迫骨折)、手首(橈骨遠位端)、腕の付け根(上腕骨近位部)、脚の付け根(大腿骨近位部)が挙げられます。特に大腿骨近位部骨折(転子部骨折、頸部骨折)は歩行困難、要介護状態になるリスクが高くなります。

豆知識
骨粗鬆症は原因によって原発性と続発性に分類されます。
原発性:加齢、閉経(エストロゲンの欠乏)、妊娠後、若年性。
続発性:内分泌疾患(副甲状腺機能亢進症など)、糖尿病などの生活習慣病、膠原病(関節リウマチなど)、慢性腎不全、動脈硬化、肺気腫などの疾患、ステロイド薬の長期投与、栄養性(胃切除後、吸収不良症候群など)、不動性(何らかの原因で体を動かせない状態)などの原因が挙げられます。

☆骨粗鬆症の治療☆
食事療法、運動療法、薬物療法があります。生活習慣の改善を食事療法と運動療法で行い、薬物療法を組み合わせる事が大切です。

 

Q 食事療法とは?

骨の形成に関わる栄養素であるカルシウム、ビタミンD、ビタミンKを摂取する事が大切です。

カルシウムは牛乳、チーズやヨーグルトなどの乳製品、小魚、小松菜、チンゲン菜、大豆、干しエビなどに多く含まれています。摂取目標量は700~800㎎/日です。
ビタミンDはサケ、ウナギ、メカジキ、カレイなどの魚類、シイタケ、きくらげなどのキノコ類に多く含まれています。
ビタミンKは納豆、ホウレンソウ、小松菜、ニラ、ブロッコリーなどの緑黄色野菜に多く含まれています。

☆ワーファリンという抗凝固薬(血をサラサラにする薬)を服薬中の方はビタミンKが多く含まれている食べ物(特に納豆)は禁止です!ビタミンKを多く摂取するとワーファリンの作用が弱まってしまいます。☆


☆控え目にした方がいい食品、嗜好品☆
スナック菓子やインスタント食品の過剰摂取、アルコールの多量摂取、カフェインを多く含むコーヒーや紅茶の多量摂取、タバコなどは控えましょう!

豆知識
カルシウムの吸収を助けるビタミンDは紫外線を浴びる事でも体内に作られます。適度な日光浴は推奨されています。ウォーキングを行う事は骨に対してもいい効果が期待されます!

今回は骨粗鬆症の食事療法までです。次回は運動療法と薬物療法について取り上げます。私も自宅近くの目黒川沿いをランニングしたり、家族で散歩をしていると桜を見ながらウォーキングを楽しんでいる方々を多く見かけます。皆さんも積極的に外に出て歩いてみてはいかがでしょうか!

春の景色